消防組織法の一部を改正する法案
■要旨
・市町村単位から都道府県単位への自治体消防の転換
・消防庁及び内閣総理大臣の自治体消防への指揮命令権付与
・国庫支弁制度の設置
第二章 国の行政機関
(消防庁長官)
第三条 消防庁の長は、消防庁長官とする。
改正文
第三条 消防庁の長は、消防庁長官とする。
2 消防庁長官(以下「長官」という。)は、総務大臣の管理に服し、消防庁の庁務を統括し、所部の職員を任免し、及びその服務についてこれを統督し、並びに消防庁の所掌事務について、都道府県消防を指揮監督する。
第三章 地方公共団体の機関
(市町村の消防に関する責任)
第六条 市町村は、当該市町村の区域における消防を十分に果たすべき責任を有する。
改正文
第六条 都道府県は、当該都道府県の区域における消防を十分に果たすべき責任を有する。
以下第三章の「市町村」の文言を「都道府県」に置き換え(第十八条から第二十五条は除く)
第二十五条から第三十条までを削除(都道府県消防への転換のため)
第四章 市町村の消防の広域化
第三十一条から第三十五条を削除(都道府県消防への転換のため)
第五章 各機関相互間の関係等
改正文
第三十六条・第五十一条を削除(都道府県消防への転換のため)
以下新設
第六章 都道府県消防の組織
(東京消防庁及び道府県消防本部)
第一条 都消防の本部として東京消防庁を、道府県消防の本部として道府県消防本部を置く。
2 東京消防庁及び道府県消防本部は、それぞれ、都道府県知事の管理の下に、都消防及び道府県消防の事務をつかさどる。
3 東京消防庁は特別区の区域内に、道府県消防本部は道府県庁所在地に置く。
4 東京消防庁及び道府県消防本部の内部組織は、政令で定める基準に従い、条例で定める。
(消防総監及び消防本部長)
第二条 都消防に消防総監を、道府県消防に道府県消防本部長を置く。
2 消防本部長(以下「消防本部長」という。)は、それぞれ、都道府県知事の管理に服し、東京消防庁及び道府県消防本部の事務を統括し、並びに都消防及び道府県消防の所属の消防職員を指揮監督する。
(消防総監及び消防本部長の任免)
第三条 消防総監及び道府県消防本部長は、都道府県知事が任免する。
(方面本部)
第四条 道の区域を五以内の方面に分ち、方面の区域内における消防の事務を処理させるため、方面ごとに方面本部を置く。但し、道消防本部の所在地を包括する方面には、置かないものとする。
2 方面本部に、方面本部長を置く。
3 方面本部長は、都道府県知事の管理に服し、方面本部の事務を統括し、及び道消防本部長の命を受け、方面本部の所属の消防職員を指揮監督する。
4 前条の規定は、方面本部長について準用する。
5 方面の数、名称及び区域並びに方面本部の位置は、条例で定める。
6 方面本部の内部組織は、政令で定める基準に従い、条例で定める。
(市消防部)
第五条 指定市の区域内における道府県消防本部の事務を分掌させるため、当該指定市の区域に市消防部を置く。
2 市消防部に、部長を置く。
3 市消防部長は、市消防部の事務を統括し、及び道府県消防本部長の命を受け、市消防部の所属の消防職員を指揮監督する。
(消防署等)
第六条 都道府県の区域を分ち、各地域を管轄する消防署を置く。
2 消防署に、署長を置く。
3 消防署長は、消防総監、消防本部長、方面本部長又は市消防部長の指揮監督を受け、その管轄区域内における消防の事務を処理し、所属の消防職員を指揮監督する。
4 消防署の名称、位置及び管轄区域は、政令で定める基準に従い、条例で定める。
5 消防署の下部機構として、出張所又は分署を置くことができる。
(職員の定員)
第七条 消防職員の定員(消防吏員については、階級別定員を含む。)は、条例で定める。この場合において、消防吏員の定員については、政令で定める基準に従わなければならない。
(府県消防学校等)
第五十四条 東京消防庁に東京消防庁消防学校を、道府県消防本部に道府県消防学校を附置する。
2 東京消防庁消防学校及び府県消防学校は、消防職員に対し、新任者に対する教育訓練その他所要の教育訓練を行う。
3 道消防学校は、消防職員に対し、新任者に対する教育訓練、幹部として必要な教育訓練その他所要の教育訓練を行う。
(職員)
第八条 都道府県消防に、消防吏員その他所要の職員を置く。
2 消防総監、消防本部長、方面本部長、市消防部長及び消防署長は、消防吏員をもつて充てる。
(経費)
第九条 都道府県消防に要する次に掲げる経費で政令で定めるものは、国庫が支弁する。
一 地方公務員共済組合負担金及び公務災害補償に要する経費
二 消防教養施設の維持管理及び消防学校における教育訓練に要する経費
三 消防統計に要する経費
四 消防用車両及び船舶及び航空機並びに消防装備品の整備に要する経費
五 広域災害の対処措置及び対策に要する経費
六 原子力緊急事態等における対処措置及び対策並びに国の機関と共同して行うこれらの措置についての訓練に要する経費
七 武力攻撃事態等における対処措置及び緊急対処事態における緊急対処措置並びに国の機関と共同して行うこれらの措置についての訓練に要する経費
2 前項の規定により国庫が支弁することとなる経費を除き、都道府県消防に要する経費は、当該都道府県が支弁する。
3 都道府県の支弁に係る都道府県消防に要する経費については、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、国がその一部を補助する。
(都道府県消防の所掌事務)
第十条 都道府県消防は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 消防業務の指導に関する事項
二 消防職員及び消防団員の教養訓練に関する事項
三 市町村相互間における消防団員の人事交流のあつせんに関する事項
四 消防統計及び消防情報に関する事項
五 消防施設の強化拡充の指導及び助成に関する事項
六 消防思想の普及宣伝に関する事項
七 消防の用に供する設備、機械器具及び資材の性能試験に関する事項
八 市町村の消防計画の作成の指導に関する事項
九 消防の応援及び緊急消防援助隊に関する事項
十 市町村の消防団が行う人命の救助に係る活動の指導に関する事項
十一 傷病者の搬送及び傷病者の受入れの実施に関する基準に関する事項
十二 救急業務の指導に関する事項
十三 消防に関する市街地の等級化に関する事項(消防庁長官が指定する市に係るものを除く。)
十四 消防用船舶及び消防用航空機による消防支援に関する事項
十五 前各号に掲げるもののほか、法律(法律に基づく命令を含む。)に基づきその権限に属する事項
第七章 緊急事態の特別措置
(内閣総理大臣の統制)
第一条 内閣総理大臣は、警察法第六章に規定する緊急事態の布告が発せられたときは、一時的に消防を統制する。この場合においては、内閣総理大臣は、その緊急事態を収拾するため必要な限度において、長官を直接に指揮監督するものとする。
(長官の命令、指揮等)
第二条 警察法第六章に規定する緊急事態の布告が発せられたときは、長官は布告に記載された区域(以下本条中「布告区域」という。)を管轄する都道府県消防の消防総監又は消防本部長に対し、必要な命令をし、又は指揮をするものとする。
2 警察法第六章に規定する緊急事態の布告が発せられたときは、長官は、布告区域を管轄する都道府県消防以外の都道府県消防に対して、布告区域その他必要な区域に消防吏員を派遣することを命ずることができる。
3 警察法第六章に規定する緊急事態の布告が発せられたときは、布告区域(前項の規定により布告区域以外の区域に派遣された場合においては、当該区域)に派遣された消防吏員は、当該区域内のいかなる地域においても職権を行うことができる。
付則
(従前の消防職員に関する経過規定)
1 この法律の施行の際、現に消防庁若しくはその附属機関に所属する職員である者は、別に辞令を発せられない限り、それぞれこの法律による消防庁若しくはその附属機関の職員となるものとする。
2 この法律の施行の際、現に東京消防庁又はその都道府県の区域内に存する自治体消防の職員である者は、別に辞令を発せられない限り、当該都道府県に置かれる都道府県消防の職員となるものとする。
(財産の処理に関する経過規定)
3 この法律の施行の際現に消防の用にもつぱら供せられ、又は供せられる予定となつている財産のうち、国有の財産で都道府県消防が引き続き消防の用に供する必要のあるもの、市町村有の財産で東京消防庁若しくは都道府県消防が引き続き消防の用に供する必要のあるもの又は都有の財産で消防庁が引き続き消防の用に供する必要のあるものは、土地を除き、それぞれ、国と都道府県と、市町村と国若しくは都道府県と、又は都と国との間においてあらかじめ協議するところに基き、国から当該都道府県に、市町村から国若しくは当該都道府県に、又は都から国に譲渡するものとする。
4 この法律の施行の際現に消防の用にもつぱら供せられている国有又は地方公共団体所有の土地及びこの法律の施行の際現に東京消防庁又は自治体消防が他の機関と共用している国有又は地方公共団体所有の財産で、消防庁又は都道府県消防が引き続き消防の用に供する必要のあるものは、それぞれ、前項の例により、消防庁又は当該都道府県消防が使用することができるものとする。
5 前二項の規定による譲渡又は使用は、無償とする。但し、当該譲渡又は使用に係る財産に伴う負債がある場合その他政令で定める特別の事情がある場合においては、相互の協議により、当該負債を処理し、又は当該譲渡若しくは使用を有償とするため必要な措置を講ずることができる。
6 前三項の規定の適用について争があるときは、長官又は当該地方公共団体の長の申立に基き、政令で定めるところにより、内閣総理大臣が裁定する。
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