インターネット上における当事者間の過熱した議論の実施方式および勝敗記録の保全あるいは中立的裁定とその他諸注意を定める基本法

提出:和紙あず未

「インターネット上における当事者間の過熱した議論の実施方式および勝敗記録の保全あるいは中立的裁定とその他諸注意を定める基本法」


(目的)

第一条 この法律は、電子空間における過熱した議論に関し、電磁的勝敗記録の真正な成立の推定、双方にとり中立な審議の裁定に関する認定の制度その他必要な事項を定めることにより、電子空間における対話及び煽り合いの円滑な利用確保による良好な環境の整備を図り、もって国民生活の向上及び高度情報通信社会の健全な発展に寄与することを目的とする。


(定義)

第二条 この法律において「レスバ」とは、「レスポンス(反応)+バトル(戦い)」を語源とし、あらゆる年代、性別、人種、国籍、家庭事情を問わず参加することができるインターネット空間における口論を指し、特に掲示板やSNS(以下、ネット等)において返信(以下、レス)機能を用いて繰り広げられる論争であって、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律第4条に違反しない投稿(以下、書き込み)をいう。

2 この法律において「レスバ」とは、次に掲げる規則をもってその状態を認定する。

一 ネット等において、本人が行ったある書き込みに対してレスを受け、本人がさらにレスを続けたとき。

二 本人が論争を持ち掛け、相手がそれに対して何らかのレスを行ったとき。

3 前項に定めたもののうち、単にそれが会話である場合はレスバにはなり得ない。但し、一方が他方に回答を求める場合は、一方の認識によりレスバとなる。


(基本理念)

第三条 レスバはこの法律の定めるところにより、次に掲げる事項を旨として、行わなければならない。

一 ネット等においてお互いにレスしていき、最後までそのネット等にいるよう努める。

二 掲示板の場合、スレッドが落ちるまでにレスを行わなければならない。

三 二の場合、勝ち負けが決まっていないとき、どちらかが相手のID若しくは固定ハンドルネームを記載してスレッドを建て、延長戦を行わなければならない。

四 相手を煽り、挑発することに重きを置く。 

五 観覧者はレスバを行っている者どちらかの肩を持つような書き込みを避けることとするが、勝敗がついた場合または勝敗の判定基準として大多数の意見を問う場合に限り、そのレスバに関する書き込みが認められる。


(管理者責任)

第四条 プロバイダ、サーバの管理者・運営者、掲示板管理者は、前条に定める基本理念(以下、基本理念という)にのっとり、適正なレスバ環境を構築することに努めるとともに、その内容を末永く記録するための施策を実施するものとする。

2 プロバイダ、サーバの管理者・運営者、掲示板管理者は、レスバについて前条に定める基本理念とともに、その実施方法や勝敗の決定方法を広く周知するよう努めなければならない。



第二章 基本的規則


(勝敗)

第五条 レスバは、一方が降参を表明した場合には、他方を勝者とする。

2 書き込みが一定時間行われなかった場合、最後にレスした者を勝者とする。

3 勝敗が決まらない場合、双方の同意をもって第三者を裁定員に任命することができる。裁定員については別条で定める。

4 レスバの開始時に双方の同意をもってルール決めがなされ、一報がそのルールにが従わない、若しくは従えなかった場合、他方は勝者となる。


(裁定員)

第六条 裁定員は主観を捨ててレスバの勝ち負けを決しなければならない。

2 裁定員の任命は一度のレスバに限り1回限りとし、裁定員の書き込みが途絶えた場合を除いて再度任命することはできない。

3 裁定員はその裁定で非難を受けることはない。

4 裁定員はその裁定に際して金銭及び便益を要求または受け取ってはならない。

5 特定のレスバにおいて裁定員を任命する場合、レスバに参加する者が別のアカウントまたは端末を用いて第三者を装い、裁定員の任命を受けようとしてはならない。

6 裁定員の任命に係るあらゆる手続き上のミスによる損失は、レスバを行う者が等しく被り、裁定員は一切その責任を問われない。

(負け惜しみ)

第七条 レスバの敗者は負け惜しみをせず、速やかにそのネット等から姿を消すか、書き込みを一日程度休むよう努め、過熱を防ぐように努力する。

2 掲示板においては、敗者が勝者の必死チェッカーを晒す行為は、無粋であるからこれを慎む。

(臨む姿勢及び言動その他)

第八条 レスバの際の言葉遣い及び態度については以下に定める。

一 相手を蔑み、見下し、馬鹿にする言動は許される。

二 誤字脱字の指摘は、仮にそれが執拗なものであっても許される。

三 論点を無視した人格否定は、レスバにおいては許される。但し、法律違反になるような書き込みは控えるよう努力しなければならない。

四 言葉狩りは、仮にそれがこじつけであっても許される。

五 根拠(以下、ソース)の提示を求められた際、返答をせず、新たな視点から議論を続けることは許される。

六 他方が嫌な思いをしようが、そんなことは一方の知ったことではないため、許される。



第三章 ボーナスステージ


(学生証及び学位の公開)

第九条 レスバはどの時点からでも、学生証や学位等の画像をアップロードして、最も高学歴だった者が勝者となる方式(以下、学生証カードバトル)に移行することができる。

2 移行はレスバに参加する双方の同意がなくとも、どちらか一方により為される。

3 レスバを見守っていた見学者は、学生証カードバトルに参加することが認められ、かつ勝者にも敗者にも為りえる。


(高学歴基準)

第十条 学生証カードバトルの勝者を決める高学歴の基準は、以下に定める事項を用いて決する。

一 ネット等に記載されている学校の偏差値の一覧

二 幼稚園、保育園、小学校、中学校及び高等学校の場合は、進学実績も加味することが許される


(不可逆的勝敗決定)

第十一条 学生証カードバトルを制した者は、レスバにおいて不可逆的かつ最終的な勝者となる。


(不成立時の裁定)

第十二条 学生証カードバトルにおいて、勝者の決定が難しい場合、以下に定める事項をもってその判断を行う。

一 国家資格

二 資産・住居

三 家柄・親の職業

四 勲章

五 配偶者または彼女の有無

六 部活動の主将経験


(失格)

第十三条 学生証カードバトルにおいて、以下に定める場合は勝敗が決まる以前に失格となる。

一 偽造、転載または他人の学生証をアップロードすること

二 ソースなしの言説

三 ディプロマミルであること

2 特に、自動車学校や予備校の在籍証明書をアップロードする行為は、寒い為これを控えること。



附 則


(施行期日)

第一条 この法律は、成立日から施行する。

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